おはようございます

クルマを売るのがクルマ屋の仕事 

事故したクルマを直すのが鈑金塗装屋の仕事

 

昨年 ブレーキ作業の予約をしていたお客様 入庫数日前にお客様Aさまより連絡がはいった

「追突事故に遭い クルマが大破した 保険の関係でベンツディーラーにクルマを入庫しなくてはいけなく・・・ブレーキ作業はとりあえず待ってください もしかしたら全損になってしまうかもしれない」 

と・・

わたし「わかりました では結果決まりましたらまたご連絡いただけますでしょうか」

で 数週間が経過・・・

Aさま「クルマの損傷が酷く メーカー曰く「部品が調達できない・修復しきれない」等で 廃車になってしまうかもしれないので 部品は注文させて頂いたので 部品代だけでも払わせていただきます」

わたし「わかりました では申し訳ございませんが 部品代だけでもお願いします」

と 部品代を頂いた

そして そこから 数週間~一ケ月!? 忘れたころに

Aさま「Aですけど・・・ 損傷が酷く 修理ができるとかできないとか 二転三転して結局 修理できそうだって ことで・・・ クルマをDラーで直してもらうことになりましたので  クルマが治ってから ブレーキ交換の作業をお願いできますでしょうか??」

と 連絡が・・

この時点で もう事故から2ヶ月位が経過していた・・・  お客様もこりゃ大変だ・・

どうやら そこから修理が完成し 

今年に入り 車検の時期が来て Aさまから連絡が入った

Aさま「すみません 結局 メーカーさんから修理が終わってからも クルマがまっすぐ走らなかったりがあって・・・ それも直してもらったんだけどまだイマイチだけど・・・「これ以上は直らない」と言われ・・・ ですが 車検なので 例のブレーキ含め作業お願いします」

ということで  ご依頼いただいた

で 早速にクルマを預かり作業をし 車検を取得し 例のハンドルの異常もAさまが気にしていたので点検

Aさま曰く「Dラーで 各部調整し「通常は行わない調整方法で特別に 出来る限りを直した」と 特別にやってくれたみたい だけど まだクルマは左に曲がってしまう・・が 最初よりは良くなったから・・・でもちょっと気になるけど もうこんなもんなのかしら・・・」

と・・・

わたし「では 事故との関連性等々 確認してみます」

ということで

お預かり後の帰り道 試乗してみると 確かに 直線でハンドルから手を離すと 左に曲がっていく・・・こりゃ乗りずらいわな・・・異常ありだ 

でも これ Dラーで直してくれないの!? 事故との因果関係はわからないが どうなの?って感じ

 

で 診察台に乗せて 心電図を測定・・・(みたいな感じ・・・

四輪アライメントテスターは イヤサカさんのハンター というアライメントテスターを使う

ここで気にするのが「トゥ」というデータだ

左前のトゥ0.29 右後ろのトゥ0.27 この二カ所の狂いが気になる

同時に 追突事故にあった後部を確認すると 損傷は???って感じ 

Aさまから聞いていた感じですと 修復できるかどうか?? という位に大ダメージかと思ったのですが・・・実際は 確かに修復されているけど 軽い損傷・・・ こりゃフレームもいってなさそうだぞ!?

現状を確認しながら 調整を始める・・・

で きになったのが 助手席側のトゥを調整するタイロッド部分

ふむふむ・・・

↑左前輪のトゥ調整ネジ山の部分に色の違いが見えているので この辺りをイジられたんだと思う・・が 数値が合ってないぞ!? ここのネジ部をイジると まっすぐ走る様に調整できる部分・・・

 

右前輪の調整部も調整しようと タイロッド部を見ると

↑黄色いマジックで イタズラ書きの様に 線が引かれ 「2」って書いてあるのかな?「2回転回した」という意味合いの2なのかな?? なんだろう? 

 

良く見りゃ 左前輪部もかなりのイタズラ書き いや 令和のバンクシー!?・・・

確かに調整する時に こうして 「何回転動かしたのか?」を確認する為に ロッドに線をひいて確認するが 四輪アライメントがある当社は 線などひかない なぜなら

数値で調整するから 

だ。。。

言ってしまえば 技術がないから 目で見える数値で調整する

プロってもんは「感覚で調整して 実際走って お客を納得させる」これが 職人だ

わたしには そんな 説得力を持たせる「顔」もない「技術」もない 「こだわり」もない・・・ざんねんだが・・・

だから 数値で追う・・

で 調整を済ませ

↑フロントトゥ 基準値の0.07に左右をセット

↑リヤトゥ 基準値の0.19に左右をセット

で 肝心なのが リヤタイヤのトゥを調整する という事 

だがリヤの数値を調整するには

このテスターが無いと 通常調整しない   そうなると フロント部の調整だけでなんとか帳尻を合わせようとするわけだが・・・・ そんなクルマは簡単ではない・・・ 今回のケースは リヤのトゥもきちんと調整してあげないと クルマはまっすぐに走らないであろう・・・つか リヤも調整できるクルマは100%調整するのが 四輪アライメントだ 我が社はこのアライメントテスターを販売する「イヤサカ」さんに頭があがらない イヤサカ様 さまさまだ・・・(無論足を向けては寝ていない。)

で こちらのベンツ 見た感じでは リヤのトゥに関しては調整されていない感じ いじった様子もないし バンクシーの絵も描かれていない

人で言えば 歩くのに足ばかりきにして 手を振って歩いてない みたいな感じだろうか 健康に歩くには手を前後に振ってあるくっていうの!? 足だけでも歩けるでしょ といえば歩けますよね そんな感じです

で 前後4輪のタイヤを調整し

このデータにして 試乗・・・

問題ない 

完成し 

お客様に納車

メーカーから 幾度となく「新車に乗り換えてください」と買い替えを促され 言われ 「直したい」というと 「直るかわからない」とか「部品が本国にあるかもわからない」と言われ 買い替えを促され 時間だけが経過し 代車の期限もきたところで「乗り換えませんか?」と買い替えを促され 結果 お客様の希望が通って修理ができたものの・・・ まっすぐ走らない(事故との因果関係は不明) それを数回直してもらったものの「これ以上は無理」と買い替えを促され・・・  「あれだけの事故してますからね」と言ったか言われたかはしらないけど そんな感じであろう  そして 最後はさじを投げられたベンツ・・・ だから お客様も「ベンツ様がそこまで言うならもうこれで乗るしかないのかな」と諦めモードというか なんというか・・・

でも こうして アライメントを取れば 

データ表が印刷されるわけで それをもらってない って事は 小手先でトゥ調整をして「これでいいんじゃねぇ??」って 出されてしまった良いケースじゃないのかな?なんて

バンクシーばりのこれを見て思った

四輪アライメントで 見事 復活を成し遂げた

調整後 私が試乗をしてみての第一声が「まっすぐは走り安定する様になったが ハンドルが軽すぎて なんか逆に怖い!!」って 位に 安定性が出た 作業をした私でさえ「直った~まっすぐ走る~~」って なんか感動しちゃったよ 嬉しくなっちゃったよ ホント。 

私ですらが これだけ喜ぶ位に良くなったんだから お客様Aさまが乗ったら絶対に喜んで頂けると この時点で確信できた 

納車後 お客様にもその違いはおわかり頂いて「元に戻ったわ~ これでまた乗れるのね 嬉しい」と お喜びいただき 無事に納車となりました 

修理完成から数ヶ月 このハンドルの件でお客様の このクルマに乗る気持ち(モチベーション)は下がっていた事だろう・・・  もちろんダメなものはダメ 無理なものは無理なのだが そんなに細かい事でなければ できる限り対応してあげたいと思うのが我々の心情・・

結果から このアライメントのズレ は事故との因果関係は薄い(元々縁石等に当てたかなにかしたのでろう) 聞けばこの修理期間中借りていた代車は新型のベンツだったそう それを長い間乗っていたので その乗り心地が良かったから 自分のクルマに久しぶりに乗ったから違和感を感じたんだと思う(事故状況を知らないから何とも言えないけどね)

肝心な リヤの追突事故は 損害としたら 軽い事故 フレームまでいってて修復不可となるケースではない軽傷な事故の感じだ

結果的に このベンツは まだまだ乗れる元気な子ということで 良かったのだが

メーカーさんもこれを機に クルマに乗り換えて欲しかったのであろうが・・・ 時間をかけて引張ってみたけど結果的に 乗り換えてもらえなかった最悪なケース・・・

だが これで「修理後クルマがまともでなくなった」となっても「だから私共はお乗り換えをおススメしましたが お客様が直したいって言うから直しましたが・・・もうご勘弁願えないか」って 言えるじゃないですか

でも こういう事案があるからこそ 「はとりさんすごい~~」って私共の信用も上がるってもんで メーカーさまさまである ここはメーカーさんに感謝しなければいけない 共存共栄である。。

 

皆様も クルマの事故の修理の際には ご自身のカーライフに合わせた修理を行ってください